IT・保守サポートの日誌
ヘルプデスク業務を効率化する方法|負担が増える原因と改善策

ヘルプデスクの効率化とは、社内から寄せられるIT関連の問い合わせ対応にかかる手間や時間を減らし、少ない人数でも安定して回せる状態をつくる取り組みです。問い合わせ件数の増加や担当者の不足により、対応に追われて本来の業務が進まないという悩みは珍しくありません。
負担を軽くするには、問い合わせが増える原因を把握したうえで、FAQ整備や窓口の一本化といった改善策を自社の状況に合わせて組み合わせることが大切です。本記事では、負担が増える原因から具体的な効率化の方法、業務改善を進める手順までを解説します。
この記事でわかること
- ヘルプデスクの負担は、問い合わせの集中、属人化、同じ質問の繰り返し、対応記録の不足によって膨らみやすい。
- FAQ整備や窓口の一本化、PC設定の標準化を組み合わせれば、問い合わせの件数と対応時間を減らせる。
- 効率化は、現状把握、KPI設定、施策の導入、振り返りの順に進めると効果を確かめやすい。
- 社内だけで改善が難しい場合は、手順が決まった業務から外部に切り出して委託する方法がある。
ヘルプデスクの効率化が求められている理由とは?
ヘルプデスクの効率化が注目される背景には、担当者の負担が増している実態があります。調査データから現状を確認していきましょう。
| 調査項目 | 割合 | 調査 |
|---|---|---|
| 業務負荷が増加した | 73.0% | キヤノンマーケティングジャパン(2026年) |
| 業務に課題を感じている | 80.2% | キヤノンマーケティングジャパン(2026年) |
| 戦略的な業務の時間が不足している | 84.3% | ソニービズネットワークス(2025年) |
| 同じ問い合わせを週1回以上受ける | 72.3% | ソニービズネットワークス(2025年) |
ヘルプデスク業務の負荷が増えている実態
キヤノンマーケティングジャパン株式会社が2026年6月に従業員300名以上1,000名未満の企業のヘルプデスク担当者111名に実施した調査では、73.0%が業務負荷が増加したと回答しました。課題を感じている担当者は80.2%にのぼり、上位の課題は「人員不足による一人当たりの負担増」(55.1%)、「特定スタッフの休暇時の対応困難」(47.2%)でした。
負荷を減らす取り組みとしては、サポートツールの導入(47.7%)やチャットボットの活用(45.0%)、外部委託の検討(41.4%)が挙がりました。一方で人員増強は28.8%にとどまっており、人を増やすよりも今の体制のまま仕組みで負担を減らす方向へ関心が向いていることがうかがえます。
同じ問い合わせへの対応に追われる担当者の現状
ソニービズネットワークス株式会社が2025年8月に中小企業の情報システム担当者108名に実施した調査では、46.2%が1日の問い合わせ件数を30件以上と回答しています。さらに84.3%が、問い合わせ対応によって戦略的な業務に充てる時間が不足していると感じていました。
注目したいのは、72.3%が週1回以上、過去に回答した内容と同じ問い合わせを受けている点です。同じ質問への回答が繰り返されている状態は、仕組みを整えれば削減できる余地が大きいことを示しています。
参照:2026年版 情報システム部門の「社内ヘルプデスク業務」に関する定点調査(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)/情シスの社内問い合わせ対応に関する調査(ソニービズネットワークス株式会社)
ヘルプデスク業務の負担が増える原因とは?

ヘルプデスクの負担は、問い合わせの件数そのものよりも、対応の仕方や仕組みの不足によって膨らむケースが少なくありません。代表的な原因は次の4つです。
ヘルプデスク業務の負担が増える4つの原因
- 問い合わせの集中:特定の時期や詳しい社員に問い合わせが偏る
- 属人化:対応ノウハウが担当者個人の頭の中にしかない
- 同じ質問の繰り返し:一度回答した内容が社内で共有されていない
- 記録不足:対応履歴が残らず、改善の手がかりが得られない
問い合わせが特定の担当者に集中する
入社や人事異動、PCの入れ替えの時期には、アカウント発行や初期設定に関する問い合わせが一気に増えます。
また、情報システムの担当者が決まっていない企業では、ITに詳しい社員へ自然と質問が集まりがちです。本来の業務を持つ社員に問い合わせが偏ると、その社員の業務が止まり、組織全体の生産性が下がるおそれがあります。
対応ノウハウが担当者個人に属人化する
トラブルの切り分け方や社内特有の設定手順が、特定の担当者の経験や記憶だけに頼っている状態が属人化です。その担当者が休暇や退職で不在になると対応が滞り、回答の品質も担当者ごとにばらつきます。
属人化を解消するには、個人の知識を誰でも参照できる形に残すことが出発点になります。後述するFAQや回答テンプレートの整備は、この課題への直接的な対策です。
同じ質問が繰り返し寄せられる
「パスワードを忘れた」「プリンターで印刷できない」といった問い合わせは、多くの企業で繰り返し寄せられる定番の内容です。回答が共有されていなければ、同じ質問が届くたびに担当者は一から説明し直すことになります。
電話やメール、チャットなど問い合わせの経路が分かれていると、過去に同じ回答をしたかどうかの確認も難しくなるでしょう。定番の質問ほど社員が自分で答えを見つけられる状態にしておけば、担当者の対応件数そのものを減らせます。
対応履歴が記録されず改善につながらない
問い合わせ対応に追われていると、どのような内容にどれだけ時間がかかったのかという記録が後回しになりがちです。記録がなければ、問い合わせの多い領域を把握できず、打ち手を選ぶ根拠も得られません。
件数や内容を記録しておくことは、どこから改善すべきかを判断する材料になります。
ヘルプデスク業務を効率化する方法とは?
ヘルプデスクの効率化には、問い合わせそのものを減らす施策と、1件あたりの対応時間を短くする施策があります。主な方法は次のとおりです。
| 方法 | 主な効果 | 向いている問い合わせ |
|---|---|---|
| FAQの整備 | 社員の自己解決による問い合わせの削減 | 手順が決まっている定番の質問 |
| 窓口の一本化とチケット管理 | 対応漏れの防止と対応状況の可視化 | 複数の経路から届く問い合わせ |
| 回答テンプレートの活用 | 回答品質の均一化と対応時間の短縮 | 回答内容がほぼ決まっている質問 |
| チャットボットの導入 | 担当者を介さない一次回答 | 件数が多く定型的な質問 |
| PC設定の標準化 | 問い合わせの発生源の削減 | 設定の違いによる不具合 |
FAQを整備して定番の問い合わせを削減する
FAQ整備とは、過去の問い合わせと回答を整理し、社員がいつでも参照できる形で公開する取り組みです。回答パターンが決まっている「よくある質問」から順に掲載すれば、社員は担当者に連絡する前に自分で解決できるようになります 。
ただし、作ったまま更新されないFAQは次第に使われなくなります。新しい問い合わせが来たら追記し、古い手順は削除するといった更新のルールを決めて運用することが、問い合わせ削減の効果を保つポイントです。
問い合わせ窓口を一本化してチケットで管理する
問い合わせの経路がばらばらだと、誰がどの案件を対応しているのかが見えにくくなります。受付窓口を1つに絞り、問い合わせごとに受付日時や担当者、対応状況を記録するチケット管理の仕組みを取り入れると、対応漏れや二重対応を防げます。
小規模な組織なら、共有のスプレッドシートから始めても問題ありません。まずはすべての問い合わせを1か所に記録する習慣をつくることが、効率化の土台になります。
回答テンプレートでヘルプデスクの対応手順を標準化する
よくある問い合わせについては、回答文や確認手順をテンプレートとして用意しておくと、対応のたびに文章を考える手間を省けます。トラブル時に確認する項目の順番をチェックリストにまとめておけば、経験の浅い担当者でも同じ品質で原因を切り分けやすくなるでしょう。
テンプレートやチェックリストは、属人化を防ぎながら対応時間を短縮できる手軽な方法です。使いにくい点は随時見直し、現場に合った内容に育てていきましょう。
チャットボットで定型的な問い合わせに自動回答する
チャットボットとは、社員が入力した質問に対し、登録された回答やFAQをもとに自動で返答する仕組みです。担当者が手を離せないときでも一次回答を返せる点がメリットといえます。
近年は生成AIを活用し、社内のマニュアルや規程から回答を作るタイプも増えています。一方で、回答の元になるFAQやマニュアルが整っていなければ精度は上がらないため、FAQ整備を先に進めてから導入を検討するのが現実的です。
PCの設定を標準化して問い合わせの発生源を減らす
社員ごとにPCの機種やソフトウェアが異なると、原因の切り分けに時間がかかり、問い合わせも増えやすいのが実情です。初期設定(キッティング)の手順を統一しておけば、トラブル自体の発生を抑えられます。
あわせて機器の機種や設定内容をIT資産管理台帳にまとめておくと、問い合わせを受けた際に状況を素早く把握できます。問い合わせへの対応を速くするだけでなく、問い合わせが生まれにくい環境を整える視点も効率化には欠かせません。
ヘルプデスクの業務改善を進める手順とは?

効率化の施策は、やみくもに導入しても効果が出にくいものです。現状把握、目標設定、施策の実行、振り返りの順に進めると、効果を確かめながら取り組めます。
問い合わせを内容別に分類して現状を把握する
最初に、直近数か月分の問い合わせを集め、「アカウント」「PC本体」「ネットワーク」「ソフトウェアの操作」などの分類ごとに件数を数えます。記録がなければ、まずは1か月ほど問い合わせ内容と対応時間を書き留めることから始めましょう。
分類した結果を件数の多い順に並べると、どこから手を付けるべきかが見えてきます。最初からすべての問い合わせを対象にせず、件数が多く対応パターンが決まっている領域から着手すると、短期間で効果を実感しやすいでしょう。
ヘルプデスクの改善効果を測るKPIを設定する
現状が分かったら、成果を判断するためのKPI(重要業績評価指標)を決めます。よく使われる指標は次のとおりです。
| 指標 | 内容 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 問い合わせ件数 | 一定期間の問い合わせの総数 | FAQ整備後に定番の質問が減っているか |
| 初回解決率 | 最初の対応で解決できた割合 | テンプレートの整備で上がっているか |
| 平均解決時間 | 受付から解決までの平均時間 | 手順の標準化で短くなっているか |
| 未解決件数 | 期限内に解決できていない数 | 窓口の一本化で対応漏れが減っているか |
中小企業のヘルプデスクでは、件数、初回解決率、平均解決時間の3つから測り始めると、無理なく続けられるでしょう。指標を増やしすぎると記録の負担が増える点には注意が必要です。
改善効果の大きい効率化施策から順に導入する
KPIを決めたら、課題に合わせて施策を選びます。定番の質問が多いならFAQ整備、対応漏れが目立つなら窓口の一本化とチケット管理というように、課題と施策を対応させることが重要です。
複数の施策を一度に始めると現場の負担が増えるため、1つずつ導入して効果を確かめる進め方が向いています。
定期的にKPIを振り返って改善施策を見直す
施策の導入後は、月に1回程度を目安にKPIの推移を確認し、効果が出ているかを振り返ります。問い合わせ件数が減っていない場合は、FAQの存在が社員に知られていない、検索しにくいといった原因が考えられるため、周知の方法や掲載場所を見直しましょう。
効率化は一度で完了するものではなく、記録、分析、改善のサイクルを回し続けることで効果が積み上がっていきます。
社内でヘルプデスクの効率化が難しい場合はどうするべきか?
担当者が兼任で時間を確保できない、専門知識を持つ人材がいないといった理由で、社内だけでは改善が進まないケースもあります。そのような場合は、ヘルプデスク業務の一部を外部に任せる方法も選択肢になるでしょう。
外部委託を検討したいサイン
- 問い合わせ対応のために担当者の本来の業務が後回しになっている
- ITに詳しい社員が1人しかおらず、不在時に対応が止まる
- 障害が起きても、どこで発生しているのかを社内で判断できない
- PCやメールアカウントの手配が担当者の大きな負担になっている
外部委託に向いているヘルプデスク業務
外部委託に向いているのは、PCが動かない、インターネットにつながらないといったトラブルの一次対応や、PCやメールアカウントの手配など、手順がある程度決まっている業務です。
すべてを任せるのではなく、社内で抱えきれない業務だけを切り出して委託する方法なら、自社の体制に合わせて無理なく導入できます。社内の業務ルールに深く関わる判断や機密性の高い情報の扱いは、自社に残すとよいでしょう。
ヘルプデスクの外部委託先を選ぶ際に確認したいポイント
委託先を選ぶ際は、対応時間や対応エリア、対応できる機器やシステムの範囲が自社のニーズに合っているかを確認します。リモートサポートを受けるなら、接続時の認証方法などセキュリティ面も確かめておきたいところです。
委託を検討する段階で、現状のIT資産や問い合わせの傾向を委託先と共有できる状態にしておくと、導入後の対応がスムーズになります。
ヘルプデスク業務の効率化に使えるCTSのITサポート&サービス
社内での効率化が難しい場合は、CTS(シーティーエス株式会社)のITサポート&サービスも選択肢の1つです。中小企業向けに貴社専用のITサポートセンターを開設し、PCやサーバー、ネットワークなどのIT資産の管理を代行するサービスで、PC10台以下なら月額22,000円(税抜)から利用できます。
導入時には、プロの技術者による初期現場調査で現在のIT資産とネットワーク環境を把握し、その結果をIT資産管理台帳にまとめます。改善点のアドバイスを経てサポートセンターを開設するため、自社の環境を把握した技術者に問い合わせを任せられる点が特徴です。
障害時は電話またはメールで技術者が対応します。リモート対応では起動のたびにワンタイムパスワードが発行されるソフトウェアを使うため、サポート側から無断で接続されることはありません。
詳しい内容は資料でご確認ください。
よくある質問
ヘルプデスクの効率化について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q. ヘルプデスクツールは導入したほうがよいですか?
- A. 問い合わせが多く複数の経路から届く場合は、チケット管理機能を持つヘルプデスクツールを導入すると対応状況を把握しやすくなります。件数が少なければ、共有のスプレッドシートで記録を始め、運用が定着してからツールを検討しても十分です。選ぶ際は機能の多さより、担当者が使い続けられるかを重視するとよいでしょう。
- Q. FAQを作っても社員に見てもらえない場合はどうすればよいですか?
- A. FAQの掲載場所を社内に周知し、問い合わせへの回答に該当FAQのリンクを添える習慣をつけると、社員が自然とFAQを参照するようになります。
- Q. ヘルプデスクの効率化で注意すべき点はありますか?
- A. 件数の削減を優先しすぎて、社員が質問しにくい雰囲気にならないよう注意が必要です。小さな不具合が放置され、大きな障害につながるおそれがあるためです。FAQやチャットボットで解決できない場合の相談先を明確にし、気軽に問い合わせられる窓口は残しておきましょう。
- Q. 少人数の会社でもヘルプデスクの効率化は必要ですか?
- A. 従業員が少ない会社ほどIT担当者が兼任していることが多く、問い合わせ対応による本業への影響が大きくなりがちです。よくある質問をまとめる、窓口を決めるといった基本的な取り組みは小規模でも効果が出やすいため、早めに整えておくことをおすすめします。
まとめ
ヘルプデスク業務の負担は、問い合わせの集中や属人化、同じ質問の繰り返し、対応記録の不足といった原因によって膨らみやすくなります。効率化を進めるには、FAQの整備や窓口の一本化、回答テンプレートの活用、チャットボットの導入、PC設定の標準化などの方法を、自社の課題に合わせて選ぶことが大切です。
取り組みは、問い合わせの分類による現状把握から始め、KPIを決めて施策を1つずつ導入し、定期的に振り返る流れで進めると効果を確かめやすくなります。社内だけで改善が難しい場合は、外部委託も含めて無理のない体制を検討してみてください。
この記事のまとめ
- ヘルプデスクの負担は、件数そのものよりも仕組みの不足によって膨らむケースが多い
- FAQ整備や窓口の一本化など、自社の課題に合った効率化の方法から取り入れる
- 問い合わせを記録して分類し、KPIをもとに改善を繰り返す
ヘルプデスクアウトソーシングを比較|委託形態・費用・選び方を解説

ヘルプデスクアウトソーシングとは、従業員から寄せられるIT関連の問い合わせやトラブル対応を外部の専門会社に任せる方法です。「ヘルプデスク委託」「ヘルプデスク外注」「ヘルプデスク代行」とも呼ばれ、常駐型やリモート型といった委託形態によって費用や対応範囲が大きく変わります。
自社に合う委託先を選ぶには、サービスの名前ではなく、委託形態・料金体系・対応範囲・品質の取り決めといった比較軸で見比べることが大切です。この記事では、それぞれの比較軸の考え方と費用相場、導入までの手順を整理して解説します。
この記事でわかること
- ヘルプデスクアウトソーシングは常駐型やリモート型などの委託形態によって費用と対応範囲が変わる
- 料金体系は月額固定型と従量課金型が中心で、問い合わせ件数と対応時間帯が費用を左右する
- 委託先は対応範囲・対応時間・品質・セキュリティ・報告体制の5つの軸で比較すると違いが見えやすい
- 導入前に自社の問い合わせを洗い出し、委託する業務と社内に残す業務を分けておくと見積りのずれを防げる
ヘルプデスクアウトソーシングとは?

ヘルプデスクアウトソーシングを比較する前に、言葉の意味と委託できる業務の範囲を押さえておきましょう。
ヘルプデスク代行とも呼ばれるアウトソーシングの意味
ヘルプデスクアウトソーシングは、社内のIT問い合わせ窓口の運営を外部の事業者に任せる仕組みです。「委託」「外注」「代行」と呼び方は異なるものの、外部の担当者が問い合わせを受け付け、解決まで対応する点は共通しています。
対象は大きく、従業員からの問い合わせに対応する社内ヘルプデスクと、自社製品の利用者に対応する社外ヘルプデスクに分かれます。情シス担当者が不在・兼任の中小企業で比較の対象になるのは、主に従業員のPCやネットワークのトラブルを受け付ける社内ヘルプデスクの委託です。
ヘルプデスクアウトソーシングで委託できる主な業務
委託できる業務は、問い合わせの一次対応だけにとどまりません。実際の業務委託仕様書の例では、問い合わせ対応に加えて、機器の障害対応やPCのセットアップ、問い合わせ内容のデータベース管理、月次の報告書作成までを委託範囲に含めています。代表的な業務を整理すると、次のとおりです。
| 業務 | 主な内容 |
|---|---|
| 問い合わせ対応 | 電話・メール・チャットでPCやソフトウェア、ネットワークの困りごとに回答 |
| 障害対応 | 機器やネットワークの不具合の原因を切り分け、復旧までを支援 |
| PCの準備 | 新しいPCの配備やセットアップ、アップデートの実施 |
| 記録の管理 | 問い合わせ内容と対応履歴を蓄積し、FAQとして整備 |
見積りを比較する際は、どの業務までが月額料金に含まれるのかを表のような単位で確認しておくと、委託先ごとの差が見えやすくなります。
社内ヘルプデスクのアウトソーシングで対象外になりやすい業務
一方で、委託先が対応しない業務をあらかじめ把握しておくことも重要です。前述の仕様書でも、自社で独自に開発したプログラムは対象外とし、各部署の業務システムに関する問い合わせは担当部署へ案内する運用になっています。
独自に構築したシステムや業務アプリケーションは、社内に問い合わせ先を残すのか、委託先に引き継ぐのかを事前に決めておくことが大切です。線引きが曖昧なままだと、委託後に「誰も対応できない問い合わせ」が生まれてしまうでしょう。
ヘルプデスクアウトソーシングの委託形態にはどんな種類がある?
ヘルプデスクアウトソーシングは、担当者がどこで、いつ対応するかによっていくつかの委託形態に分かれます。主な形態の特徴と向いている企業を比較すると、次のようになるでしょう。
| 委託形態 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 常駐型 | 委託先の担当者が自社に常駐して対応 | 問い合わせが多く、対面での対応を重視する企業 |
| リモート型 | 委託先の拠点から電話・メール・遠隔操作で対応 | 費用を抑えて日常の問い合わせ窓口を持ちたい企業 |
| スポット型 | トラブルや作業が発生したときだけ都度依頼 | 問い合わせが少なく、発生時だけ支援が欲しい企業 |
| 24時間対応型 | 夜間や休日も問い合わせを受け付ける | 夜間や休日も業務を止められない企業 |
常駐型ヘルプデスクの特徴
常駐型は、委託先の担当者が自社のオフィスに常駐して問い合わせに対応する形態です。自治体の委託事例でも受託者の要員が常駐することを基本としており、作業に使う設備や備品は発注側が用意する取り決めになっています。
対面ですぐに相談できる安心感がある反面、担当者の人件費がそのまま委託費用に反映されやすい点には注意が必要です。問い合わせが少ない企業では、費用に見合わない場合もあります。
リモート型ヘルプデスクの特徴
リモート型は、委託先のサポート拠点から電話やメール、遠隔操作ソフトを使って対応する形態です。常駐型に比べて費用を抑えやすく、中小企業でも取り入れやすい形態といえます。
遠隔操作では社内のPCに外部から接続するため、接続の承認方法や通信の暗号化といった安全面の仕組みを確認しておきましょう。また、ネットワーク機器の故障など遠隔では解決できないトラブルに備え、必要に応じて技術者が訪問できるかどうかも比較のポイントです。
スポット型ヘルプデスクの特徴
スポット型は、月額契約を結ばずに、トラブルや作業が発生したときだけ都度依頼する形態です。PCの入れ替えなど一時的な作業に利用しやすく、平常時の固定費がかかりません。
ただし、依頼のたびに自社のIT環境を説明し直す必要があるため、日常的な問い合わせ窓口としては使いにくい面があるでしょう。
24時間対応型ヘルプデスクの特徴
24時間対応型は、夜間や休日も問い合わせを受け付ける形態です。昼夜を問わず稼働する工場や店舗を抱える企業では、トラブルの放置を防げる点が利点になります。
一方で、対応時間を広げるほど手厚い体制(要員)の確保が必要になり、日中のみの対応に比べて費用は高くなる傾向があります。
ヘルプデスクアウトソーシングの費用相場はどのくらい?
ヘルプデスクアウトソーシングの費用は、料金体系と委託する業務の範囲によって大きく変動するものです。まずは料金体系の違いを押さえたうえで、業務内容別の相場を確認していきましょう。
月額固定型のヘルプデスク料金体系
月額固定型は、毎月一定の料金を支払い、あらかじめ決めた内容や件数の範囲内でサービスを利用する料金体系です。毎月の費用が読みやすく、予算を立てやすい点がメリットです。
契約時には、上限件数を超えた場合の追加料金や、月額料金に含まれない作業の扱いを確認しておくことが大切です。
従量課金型のヘルプデスク料金体系
従量課金型は、利用した対応件数やサポート時間に応じて料金が発生する料金体系です。問い合わせが少ない月は費用を抑えられるため、件数が少ない企業や、繁忙期だけ利用したい企業に向いています。
その反面、トラブルが重なった月は費用が膨らむため、過去の問い合わせ件数をもとに年間の費用を試算してから選ぶと安心です。
業務内容別に見たヘルプデスク外注の費用相場
ヘルプデスク外注の費用相場は、ある解説記事で次のように紹介されています。対応件数や委託範囲によって金額は大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。
| 委託する業務 | 想定する件数 | 費用相場の目安 |
|---|---|---|
| サービスデスク全体 | 総合窓口として運用 | 月額15万〜35万円程度 |
| ヘルプデスクの一次対応 | 100〜1,000件 | 10万〜100万円程度 |
| テクニカルサポート | 100〜1,000件 | 10万〜150万円程度 |
| 24時間365日対応 | 10〜100件 | 20万〜50万円程度 |
1件あたりの単価で見ると、24時間365日対応は日中中心の一次対応よりも割高になりやすいことが分かります。自社の問い合わせ件数と必要な対応時間帯を把握しておくと、見積りの妥当性を判断しやすくなるでしょう。
担当者を雇用する場合とのコスト比較
外注費用を検討する際は、社内でIT担当者を雇用した場合のコストとも比べておきましょう。一般的な試算では、社内のヘルプデスク担当者(社内IT担当者)を1人雇用する場合のコストは月30万円以上とされています。
一方、外部の専門会社に運用を任せる場合は、月数万〜10万円程度からという試算もあります。採用や教育の手間まで含めると、必要な業務だけを外注するほうが負担を抑えやすいケースは多いでしょう。
参照:サービスデスク・ヘルプデスクの外注費用相場とは(ビジネスコンシェルジュ powered by お名前.com、2025年4月)
ヘルプデスクアウトソーシングの委託先はどう比較して選ぶ?
委託形態と費用の目安が分かったら、具体的な委託先を比較していきます。ある調査では、情シス業務を外部委託している企業の34.6%が「最適な業者選定が難しい」と回答しており、比較の観点を事前に決めておくことが欠かせません。主な比較軸と確認したい内容は次のとおりです。
| 比較軸 | 確認したいこと |
|---|---|
| 対応範囲 | 月額料金に含まれる業務と、別料金になる作業の範囲 |
| 対応時間 | 受付時間と、時間外に発生した問い合わせの扱い |
| 品質の取り決め | 回答までの目安時間や、対応品質を維持する仕組み |
| セキュリティ | 遠隔操作の接続方法や、機密情報の取り扱いルール |
| 報告体制 | 対応履歴の共有方法や、定期報告の頻度 |
対応範囲の線引きで委託先を比較する
最初に確認したいのは、月額料金でどこまで対応してもらえるかという範囲です。同じ「ヘルプデスク代行」でも、電話での一次回答のみを受け持つ委託先もあれば、障害の切り分けや機器の設定変更まで含む委託先もあります。
見積りを並べる際は、自社で発生している問い合わせの種類を一覧にし、それぞれが範囲内か範囲外かを照らし合わせると比較しやすくなるでしょう。
対応時間帯で委託先を比較する
対応時間帯の確認は、見落としやすい比較ポイントです。受付時間は委託先ごとに異なり、平日日中のみ受け付けるところもあれば、夜間や休日まで対応するところもあります。
対応時間を広げるほど費用は上がりやすいため、自社の問い合わせが集中する時間帯を把握したうえで必要な範囲を見極めることが大切です。時間外に発生したトラブルを翌営業日に回すのか、別料金で対応するのかも確認しておきましょう。
品質指標の取り決めで委託先を比較する
対応品質を比較するには、SLA(サービス品質に関する合意)として、どのような指標を約束してもらえるかを確認することが有効です。代表的な指標は、回答までの時間や一次対応での解決率などです。
自治体の委託仕様書でも、回答品質にばらつきを生じさせないことや、対応マニュアルとFAQを整備して随時更新することが受託者に求められています。数値の目標だけでなく、品質を維持するための仕組みがあるかまで確認しておくと安心です。
セキュリティ体制で委託先を比較する
ヘルプデスクの委託では、委託先の担当者が社内のPCやアカウント情報に触れるため、セキュリティ体制の確認が欠かせません。前述の調査でも、情シス業務を外部委託している企業の38.5%が「情報漏洩のリスク」を課題に挙げています。
遠隔操作を使う場合は、従業員の承認なしに接続できない仕組みになっているかを確認しましょう。
対応履歴の報告体制で委託先を比較する
外部に任せた後も社内で状況を把握できるよう、報告の頻度と内容を確認しておくことが重要です。前述の自治体の仕様書では、月次の成果報告書の提出や、問い合わせ内容のデータベースを定期的に報告することが求められています。
対応履歴が自社に共有されていれば、委託先を切り替える場合や業務を社内に戻す場合にもノウハウを引き継ぐことが可能です。
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年9月)
ヘルプデスクを外注するメリットは?
ヘルプデスクを外注するメリットは、社内に専門人材がいなくても、一定の品質で問い合わせ対応の体制を整えられる点にあります。ある調査では、情シス業務を外部委託する理由として「専門的知識・スキルを持つ人材が社内にいないから」が59.0%で最も多く、「IT人材の採用コストを削減したい」が42.3%、「情シス担当者の負担を軽減したい」が35.9%と続きました。
ヘルプデスクを外注する主なメリット
- 専門知識を持つ担当者に問い合わせ対応を任せられる
- IT人材を採用・育成するコストを抑えられる
- 兼任担当者の負担が減り、本来の業務に集中しやすくなる
一方、同じ調査で外部委託している業務の内訳を見ると、サーバー構築が51.3%、ネットワーク構築が39.7%であるのに対し、ヘルプデスクは5.1%にとどまりました。日々の問い合わせ対応は社内で抱え込まれがちですが、兼任担当者の時間を日常的に奪う業務でもあるため、委託の対象として検討する価値があります。
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年9月)
ヘルプデスクを外注する際の注意点は?

メリットがある一方で、ヘルプデスクの外注には事前に把握しておきたい注意点もあるのが実情です。前述の調査では、外部委託している企業が挙げた課題として「委託費用が高騰している」が57.7%と最も多くなりました。
ヘルプデスクの外注で注意したい点
- 対応時間や対応範囲を広げるほど費用が増えやすい
- 委託先が社内情報を扱うため、情報管理のルールが必要になる
- 委託先任せにすると、社内にITの知見が残りにくい
- 委託範囲外の問い合わせは社内に残る
費用の高騰を防ぐには、委託する業務の範囲と想定件数を契約前に具体的に決めておくことが有効です。また、対応履歴の共有を契約条件に含めておけば、社内に知見が残りにくいという課題にも対処しやすくなります。
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年9月)
ヘルプデスクアウトソーシングの導入手順は?
ヘルプデスクアウトソーシングは、委託先を決めて終わりではなく、準備から運用開始後の見直しまで段階的に進めることが大切です。一般的な流れは次のとおりです。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1.現状の把握 | 問い合わせの件数や種類、発生する時間帯を洗い出す | 直近の対応記録をもとに整理する |
| 2.委託範囲の決定 | 委託する業務と社内に残す業務を分ける | 独自システムの問い合わせ先を決めておく |
| 3.委託先の比較 | 複数の委託先から見積りを取り、比較軸で見比べる | 対応範囲や対応時間の条件をそろえる |
| 4.契約と引継ぎ | 契約条件を確定し、自社のIT環境の情報を共有する | 機器構成やネットワークの状態を台帳にまとめる |
| 5. |
特に最初の現状把握を丁寧に行うと、委託範囲の過不足や見積りのずれを防ぎやすくなります。導入後も定期報告をもとに委託範囲を見直し、自社に合った形へ調整していくとよいでしょう。
ヘルプデスク業務を委託できるCTSのITサポート&サービス
ヘルプデスクアウトソーシングの委託先を比較する際の選択肢の一つとして、CTS(シーティーエス株式会社)のITサポート&サービスがあります。中小企業向けに専用のITサポートセンターを開設し、PCやネットワークのトラブル対応など、システム管理部門の役割を代行するサービスです。
料金はPC10台以下であれば月額22,000円(税抜)からの月額制です。導入時は初期現場調査でIT資産とネットワーク環境を把握し、IT資産管理台帳の作成と改善点のアドバイスを経てサポートセンターを開設するため、委託先に自社の環境を一から説明する手間を減らせます。
リモート対応には起動のたびにパスワードが発行される遠隔操作ソフトを使用しており、サポート側から無断で接続することはできない仕組みです。PCやメールアカウントの手配など、自社の手が回らない業務を切り出して相談することもできます。比較軸ごとに整理すると、次のとおりです。
| 比較軸 | CTSのITサポート&サービス |
|---|---|
| 委託形態 | 電話・メール・リモートでの対応が中心(訪問作業はオプション) |
| 対応時間 | 平日9:00〜17:00 |
| 対応エリア | 東京都市圏(公共交通機関で約1時間以内の範囲) |
| 料金体系 | 月額制(PC10台以下は月額22,000円(税抜)から)、オプション作業は都度見積り |
| セキュリティ | ワンタイムパスワード方式の遠隔操作、通信は常に暗号化 |
よくある質問
ヘルプデスクアウトソーシングの比較・検討の段階でよく寄せられる質問をまとめました。
- Q. ヘルプデスクの外注とヘルプデスクツールの導入はどう違いますか?
- A. ヘルプデスクツールは、問い合わせの受付や履歴管理、FAQの公開などを効率化するためのシステムで、対応するのは自社の担当者です。一方、ヘルプデスクの外注は対応する人そのものを外部に任せる方法です。社内に対応できる人がいない場合は外注、担当者の手間を減らしたい場合はツールが向いているでしょう。
- Q. 従業員が数名の会社でもヘルプデスクを外注できますか?
- A. 委託先によって最低契約台数や料金体系は異なりますが、PC台数に応じた月額プランを用意している委託先であれば、少人数の企業でも利用しやすいでしょう。問い合わせが少ない場合は、月額型ではなくスポット型で必要なときだけ依頼する方法も選択肢になります。
- Q. ヘルプデスク業務の一部だけを委託することはできますか?
- A. 委託先によっては、業務の一部だけを切り出して依頼することも可能です。例えば、PCやメールアカウントの手配だけを委託し、日々の問い合わせ対応は自社で行うといった分担も考えられます。どの業務を任せるかは、社内で対応しきれていない業務から優先して検討すると進めやすいでしょう。
- Q. ヘルプデスクの委託先を途中で切り替えることはできますか?
- A. 契約期間の満了などのタイミングで切り替えることは可能ですが、引継ぎの準備が欠かせません。自治体のヘルプデスク業務委託でも、受託者に引継ぎ資料の作成と次の受託者への引継ぎを求めています。切り替えに備えて、対応履歴やFAQを自社でも保有できる契約にしておくと安心です。
まとめ
ヘルプデスクアウトソーシングは、委託・外注・代行と呼び方は違っても、社内のIT問い合わせ対応を外部の専門会社に任せる方法です。比較する際は、委託形態と料金体系の違いを押さえたうえで、自社の問い合わせ件数や対応時間帯に合うものを選ぶことが大切です。
委託先の選定では、対応範囲の線引き、対応時間帯、品質の取り決め、セキュリティ体制、報告体制の5つの軸で見積りを見比べると、価格だけでは分からない違いが見えてきます。導入時は現状の問い合わせを把握し、委託する業務と社内に残す業務を分けることから始めましょう。
費用相場はあくまで目安のため、複数の委託先から同じ条件で見積りを取って比較してみてください。
この記事のまとめ
- ヘルプデスクアウトソーシングは委託形態と料金体系によって費用と対応範囲が変わる
- 委託先は対応範囲・対応時間・品質・セキュリティ・報告体制の5つの軸で比較する
- 導入前に問い合わせの件数と種類を洗い出し、委託範囲を決めておく
- 複数の委託先から同じ条件で見積りを取り、自社に合う委託先を選ぶ
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盛り上がりをみせる半導体関連事業!日本は?

2月に半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業「TSMC」が、熊本県菊陽町に日本では初めてとなる巨大な工場を建設・完成したというニュースが話題となりました。この「半導体」、最近よく見聞きしますが、具体的にどういうものかをご存知の方はそう多くないと思います。今回は半導体についてのお話です。
半導体とは
半導体は、我々の生活・社会の発展には欠かせないものです。そもそも半導体はどういったものなのでしょうか。
半導体とは、電気を良く通す金属などの「導体」と電気をほとんど通さないゴムなどの「絶縁体」との中間の性質を持つ物質や材料のことです。そして、こうした半導体を材料に用いたトランジスタや集積回路も、同時に「半導体」と呼ばれています。半導体は情報の記憶、数値計算や論理演算などの知的な情報処理機能を持っており、電子機器や装置の頭脳部分として中心的役割を果たしています。こうしたことから、半導体は多岐にわたる用途で使用されています。以下は、半導体が使用されている主な分野とその用途の一例です。
【家電製品】テレビ、ラジオ、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど
【コンピュータおよび通信機器】パソコン、サーバー、スマートフォン、タブレット、ルーター、スイッチ、モデムなど
【自動車】エンジン制御ユニット(ECU)、安全システム、電気自動車など
【医療機器】診断装置、治療機器、携帯型医療デバイスなど
【産業用途】ロボット、製造設備、エネルギー管理システムなど
【その他】ゲーム機、カメラ、スマート家電など
ご覧のように、生活のあらゆる場面で使用されている電子機器には必ず使用され、その中核の担うものです。しかしながら、近年では半導体製造には様々な課題をかかえています。特定の地域(特に台湾、韓国、中国など)に半導体製造能力が集中しており、政治的緊張や自然災害による供給リスクが高まっています。特に新型コロナなどのパンデミック時には、半導体の需要が急増し、供給が追いつかない状況が発生しました。これにより、様々な産業が影響を受けました。こうしたことから、各国や企業が半導体の生産拠点を分散しサプライチェーンのリスクを低減する必要性が高まってきました。
そのほかにも、生産コストの増加、高度な専門知識を持つ技術者の供給不足などの課題も挙げられます。また、半導体市場は需要の変動が大きく、景気や消費者の嗜好の変化による影響を受けやすいといったこともあり、データ分析やAIを活用した需要予測精度の向上も必要となっています。そんななかで半導体世界最大手の「TSMC」が、熊本県に日本初の工場を稼働させたことは、国内における経済効果としても期待が高まります。
日本製半導体製造装置の現状
半導体製造装置とは、半導体を製造するために用いられる装置のことです。一概に半導体製造装置といってもまざまな種類のものがあり、各種の材料膜を形成する装置、写真蝕刻技術を利用して材料膜を形状加工する装置、微量不純物を添加する装置、組立て装置、検査装置などがあります。
そんななか、日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2024年度〜2026年度の日本製半導体製造装置および日本製FPD製造装置の販売高予測(2024年7月版)を発表しました。半導体製造装置・日本製装置販売高予測では、2024年度は現在続いているメモリー価格の上昇に稼働率の上昇が追い付くタイミングで、DRAM投資が本格的に復活するとみています。そのなかで中国向けは引き続き堅調ですが、他地域向けの投資拡大に伴い比率は若干下がる傾向となっています。結果、15%増の4兆 2,522億円と予測しています。4兆円を超えるのは、今回が初めてとのことです。
また2025年度はDRAMに続きNANDも投資が回復し、ロジック・ファウンドリの堅調な投資が続くことから同10%増の4兆6774億円と予測しています。2026年度もオンデバイスAI関連を中心に引き続き順調な伸びが期待されるため同10%増の5兆1452億円と予測しており、この3年間の年平均成長率(CAGR)は11.7%となります。
日本市場販売高予測については、2024年度はメモリ市況の回復に加えて政府による補助金効果や、大手ファウンドリの順調な立ち上がりを追い風に、前年度比17%増の1兆3375億円と予想しています。2025年も複数の大手ファウンドリの投資とメモリ向け投資の回復から同30%増の1兆7388億円と予測、2026年度も引き続き堅調な投資が見込まれ、同7%増の1兆8605億円と予測しています。
FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置販売高についても、2024年度は韓国での有機EL(OLED)向けG8.6基板の投資が本格化し、タブレット(11/13型など)、 PC(14.2/16.2型など)を始めとしたIT製品への搭載も進むことが期待されることから、同30%増の3351億円と予測しています。2025年度も韓国に続き、中国でのG8.6基板のOLEG投資が進むことが予測されることから同10%増の3686億円と予測、2026年度も韓国と中国のG8.6基板OLED投資が進む見込みですが、技術方式や時期に未確定部分があることから、同横ばいの3686億円としています。
このように、日本では半導体を制作する装置の開発・製造においては、高い技術とシェアを有しており、半導体製造の中核を担っているといっても過言ではありません。
『2024年7月発表半導体・FPD 製造装置需要予測』
(出典:日本半導体製造装置協会より)
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