情シスアウトソーシングを比較|サービスの種類・費用・選び方を解説
情シスアウトソーシングは、社内の情報システム業務の全部または一部を外部の専門会社に任せるサービスです。情シス担当者が不在・兼任の中小企業にとって、採用に頼らずにIT管理の体制を整える手段として検討されています。
ただし、サービスは提供形態や対応範囲、料金体系がさまざまで、何を基準に比べればよいか迷いやすいものです。比較の軸を先に決めておけば、自社に合う委託先を絞り込みやすくなるでしょう。本記事では、サービスの種類、費用の目安、委託先の比較ポイント、導入の流れを順に解説します。
この記事でわかること
- 情シスアウトソーシングは、常駐型・リモート型・スポット型という提供形態の違いで、対応の速さと費用のバランスが変わる。
- 費用は委託範囲によって月数万円から数十万円まで幅があり、料金体系と委託範囲をそろえて見積もりを比べる必要がある。
- 委託先を比較する際は、対応範囲、対応時間、訪問対応の可否、セキュリティ対策、契約条件の5点を確認する。
- 導入は委託業務の洗い出しから始め、現状調査を経て委託範囲を確定し、運用開始後も定期的に見直す流れで進める。
情シスアウトソーシングとはどのようなサービス?

比較を始める前に、情シスアウトソーシングがどのようなサービスで、どこまでの業務を任せられるのかを押さえておきましょう。あわせて、中小企業で利用が広がっている背景も紹介します。
情シス代行とも呼ばれる情シスアウトソーシングの意味
情シスアウトソーシングとは、企業の情報システム部門(情シス)が担う業務の全部または一部を外部の専門会社に委託するサービスです。PCやサーバー、ネットワークの管理、社員からのIT問い合わせ対応などを、社外の技術者が代わりに担います。
このサービスは「情シス代行」「情シス外注」「情シス支援」「情シスサポート」「社内ITサポート」など、さまざまな名前で呼ばれています。呼び方は違っても、社内のIT管理を外部の専門家に任せるという中身はほぼ共通しているため、名称ではなく委託できる範囲で比べることが大切です。
なお、業務プロセスそのものを丸ごと外部化するBPOや、人材を受け入れる派遣、IT戦略の助言を受けるコンサルティングも、広い意味では情シス業務を外部に頼る方法といえます。本記事で比較の対象とするのは、日々のIT管理や問い合わせ対応を委託するアウトソーシングサービスです。
情シスアウトソーシングで委託できる主な業務
情シスアウトソーシングで任せられる業務は、日常的な問い合わせ対応から、サーバーやネットワークの構築・保守まで多岐にわたります。委託先によって対応できる範囲が異なるため、自社が任せたい業務がサービスの対象に含まれているかを最初に確認しておきましょう。
代表的な業務を区分ごとに整理すると、次の表のとおりです。
| 業務区分 | 具体的な業務の例 |
|---|---|
| ヘルプデスク | 社員からのPC操作やトラブルの問い合わせ対応 |
| IT機器の導入 | PCのキッティング(初期設定)、機器の選定や購入の代行 |
| 運用・保守 | サーバーやネットワークの構築、保守、障害対応 |
| アカウント管理 | メールやクラウドサービスのユーザー設定、権限設定 |
| セキュリティ | ウイルス対策ソフトの導入、セキュリティ設定の相談 |
中小企業で情シスアウトソーシングが選ばれる背景
中小企業で情シスアウトソーシングが選ばれる背景には、社内のIT人材不足があります。2024年度の速報値では、従業員100名以下の中小企業の88%が、情シス要員1人以下の状態にあると報告されています。
従業員10名以上300名未満の中小企業を対象にした2024年7月の調査では、情シス業務を全部または一部外部委託している企業が70.3%にのぼりました。委託の理由として上位に挙がった項目は次のとおりです。
情シス業務を外部委託する主な理由
- 社内に専門知識を持つ人材がいない(59.0%)
- コストを削減したい(42.3%)
- 担当者の負担を軽減したい(35.9%)
参照:中小企業IT投資動向調査(一般社団法人ひとり情シス協会、2024年度)/情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年7月)
情シスアウトソーシングのサービスにはどんな種類がある?
情シスアウトソーシングのサービスは、技術者がどのような形で業務にかかわるかによって、大きく3つの提供形態に分けて考えると整理しやすいでしょう。ここでは各形態の特徴と、向いている企業を比較します。
技術者が社内に常駐する常駐型サービス
常駐型は、委託先の技術者が自社のオフィスに常駐し、情シス業務を担当する形態です。社員が直接声をかけられるため、機器の故障やネットワーク障害にもその場で対応してもらえます。
一方で、技術者1人分の稼働を確保する形になるため、3つの形態のなかでは費用が最も高くなりやすい点に注意が必要です。社員数やIT機器が多く、問い合わせが毎日のように発生する企業に向いています。
リモート操作で問い合わせに対応するリモート型サービス
リモート型は、電話やメールで問い合わせを受け付け、遠隔操作ツールを使ってPCの設定やトラブルに対応する形態です。技術者が移動しなくて済むぶん、常駐型より費用を抑えやすいのが特徴といえます。
ただし、ケーブルの差し替えや機器の交換といった物理的な作業は、遠隔では対応できません。リモート型を選ぶ場合は、必要なときに技術者の訪問を依頼できるかもあわせて確認しておくと安心です。
必要なときに技術者が訪問するスポット型サービス
スポット型は、PCの入れ替えやネットワークの構築、障害の復旧など、必要が生じたときだけ作業を依頼する形態です。依頼した作業ごとに料金が発生するため、IT関連の作業がたまにしか発生しない企業では費用を抑えられます。
反面、継続的な契約がないと委託先が自社の環境を把握しておらず、依頼のたびに現状の説明や調査が必要になる場合があります。日常の問い合わせ対応はリモート型の月額契約で委託し、訪問作業だけをスポットで依頼する組み合わせも一般的です。
3つの提供形態の違いをまとめると、次のようになります。
| 項目 | 常駐型 | リモート型 | スポット型 |
|---|---|---|---|
| 対応方法 | 技術者が社内で対応 | 電話・メール・遠隔操作で対応 | 依頼時に技術者が訪問 |
| 対応の速さ | その場で対応できる | 遠隔ですぐ対応できる | 日程調整が必要 |
| 費用の傾向 | 高くなりやすい | 抑えやすい | 作業ごとに発生 |
| 向いている企業 | 社員数・IT機器が多い企業 | 日常の問い合わせを任せたい中小企業 | IT作業の頻度が低い企業 |
情シスアウトソーシングの費用相場はどのくらい?

情シスアウトソーシングの費用は、料金体系と委託する業務の範囲によって大きく変わります。複数のサービスを比較する前に、料金の決まり方と費用の目安を確認しておきましょう。
情シスアウトソーシングの主な料金体系
情シスアウトソーシングの料金体系は、毎月決まった額を支払う月額固定型と、作業量や時間に応じて支払う従量課金型に大別できます。導入時に、現状調査や環境整備のための初期費用が別途かかるサービスもあります。
| 料金体系 | 仕組み | 利用・比較のポイント |
|---|---|---|
| 月額固定型 | PC台数や委託範囲に応じた定額を毎月支払う | 問い合わせが継続的に発生し、予算を一定にしたい |
| 従量課金型 | 作業時間や依頼回数に応じて支払う | IT作業の発生頻度が低く、必要な分だけ払いたい |
| 初期費用 | 導入時の現状調査や台帳作成などにかかる | 月額費用とあわせて総額で比較する |
月額費用だけを見ると安く感じても、訪問作業や障害復旧が別料金になっている場合があるため、年間で想定される作業を含めた総額で比べることが重要です。
委託範囲で変わる情シスアウトソーシングの月額費用
月額費用は、どこまでの業務を委託するかで桁が変わります。IT製品比較サイトのITトレンドが紹介している月額固定型の目安は、業務を絞った委託なら8,000円〜数万円、情シス業務を総合的に任せる場合は40万円〜80万円程度です。
ASPICの解説では、中小・中堅企業向けで問い合わせ対応が中心のサービスは月額10万円以下が目安とされています。日常の問い合わせ対応とPC管理が中心であれば、月数万円から10万円程度を一つの目安に見積もりを比べるとよいでしょう。
情シス担当者を社内で雇用する場合のコスト
アウトソーシングの費用が妥当かどうかは、社内で情シス担当者を雇用する場合と比べると判断しやすくなります。一般的な試算では、情報セキュリティの担当者を1人雇用するだけでも月30万円以上のコストがかかるとされています。
さらに、採用や教育の費用、退職時の引き継ぎの負担も考慮しなければなりません。業務量が担当者1人分に満たない企業では、必要な範囲だけを外部に委託したほうが費用を抑えられる場合が多いといえます。
参照:ITアウトソーシングの解説記事(ITトレンド)/情シスアウトソーシングの比較解説(ASPIC)
情シスアウトソーシング会社を比較するときの選び方は?
情シス業務を外部委託した企業が感じている課題として、ある調査では「費用の高騰」が57.7%、「情報漏洩リスク」が38.5%、「業者選定の難しさ」が34.6%と上位に挙がりました。こうした課題を避けるためにも、委託先は次の5つの観点で比較しましょう。
| 比較ポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応範囲 | 任せたい業務、利用中の機器・OS・クラウドサービスに対応しているか |
| 対応時間 | 自社の営業時間と問い合わせの受付時間が合っているか |
| 訪問対応 | 技術者の訪問が可能か、自社の所在地が対応エリアに入っているか |
| セキュリティ | 遠隔接続の方式、認証の取得状況、情報の取り扱いルール |
| 契約条件 | 契約期間、中途解約の条件、追加費用が発生する作業の範囲 |
自社の課題に合う対応範囲かを比較する
情シスアウトソーシングのサービスには、幅広い業務に対応する総合型のほか、システム運用に特化した型、ヘルプデスクなどのサポートに特化した型があります。問い合わせ対応の負担を減らしたいのか、サーバーやクラウドの管理まで任せたいのかによって、選ぶべき型は変わります。
比較の際は、WindowsとMacの両方に対応しているか、利用中のクラウドサービスを扱えるかなど、自社の利用環境が対応範囲に入っているかを確かめましょう。IT機器の導入から廃棄までの管理や、ソフトウェアのライセンス管理に対応しているかも比較のポイントになります。
問い合わせに対応できる時間帯を比較する
問い合わせを受け付ける曜日や時間帯は、サービスごとに異なるのが一般的です。平日の日中のみ対応するサービスもあれば、土日の対応を有料オプションとしているサービスもあります。
自社の営業日や営業時間と照らし合わせ、トラブルが起きやすい時間帯に連絡がつくかを確認しておくことが大切です。受付から一次回答までの目安時間が決められているかも、あわせて確認しておきましょう。
技術者の訪問に対応できるかを比較する
リモートでの対応を基本とするサービスでも、機器の交換や配線の確認には技術者の訪問が欠かせません。訪問作業が月額費用に含まれるのか、別料金になるのかはサービスによって異なります。
訪問対応のエリアが限られているサービスも多いため、自社の拠点が対応エリアに含まれているかを契約前に確認しておきましょう。
委託先のセキュリティ対策を比較する
情シスアウトソーシングでは、委託先が自社のPCやサーバー、アカウント情報に触れることになります。そのため、委託先の情報管理体制は費用と同じくらい重要な比較ポイントです。
IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、委託先を含めたサプライチェーン全体での対策が重視されています。ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークの取得状況に加え、遠隔操作の際に無断で接続されない仕組みになっているかも確認しておきましょう。
情シスアウトソーシングの契約条件を比較する
情シスアウトソーシングでは、最低契約期間が1年程度に設定されているサービスも珍しくありません。中途解約の可否や、解約時に残りの期間の料金が発生するかどうかは、事前に確認すべき項目です。
見積もりを比較する際は、月額費用に含まれる作業と追加費用になる作業の境目を明確にしておくと、導入後の費用の膨らみを防げます。対応内容をまとめた報告書が定期的に提出されるかどうかも、委託後に社内で状況を把握するうえで役立つ確認ポイントです。
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年7月)
情シスアウトソーシングを導入する流れは?
委託先を比較して選んだあとは、段階を踏んで導入を進めることで、引き継ぎの漏れや認識のずれを防げます。一般的な導入の流れは次のとおりです。
情シスアウトソーシング導入の4ステップ
- 委託したい情シス業務を洗い出す
- 複数のサービスから見積もりを取って比較する
- 現状調査を受けて委託範囲を確定する
- 運用開始後に委託範囲を定期的に見直す
委託したい情シス業務を洗い出す
最初に、現在社内で誰がどのようなIT業務を担っているかを書き出します。問い合わせの件数や内容、使用しているPCの台数、サーバーやクラウドサービスの種類も整理しておけば、見積もりの精度を高められるでしょう。
洗い出した業務を「社内に残す業務」と「外部に任せる業務」に分けておくと、委託先に求める条件がはっきりします。
複数の情シスアウトソーシング会社から見積もりを取る
委託したい業務が決まったら、複数の情シスアウトソーシング会社に同じ条件を伝えて見積もりを依頼するのが基本です。条件をそろえて依頼することで、費用と対応内容を公平に比べられます。
見積もりを受け取ったら、前章の比較ポイントに沿って、費用だけでなく対応範囲や契約条件の違いまで確認しましょう。
現状調査を受けて委託範囲を確定する
委託先が決まると、多くの場合、技術者が社内のIT資産やネットワーク環境を調査します。この調査結果をもとに管理台帳の作成や設定の改善点が提案され、委託範囲が最終的に固まるという流れです。
現状調査の段階で、パスワードや設定情報など担当者しか知らない情報を委託先と共有しておくと、運用開始後の対応がスムーズになります。
運用開始後に委託範囲を定期的に見直す
運用が始まったあとも、社員数の増減や新しいシステムの導入によって、必要な支援の内容は変わっていきます。委託先からの報告をもとに、問い合わせの傾向や対応状況を定期的に振り返ることが大切です。
半年や1年といった区切りで委託範囲と費用のバランスを見直せば、過不足のない体制を保ちやすくなります。
中小企業の情シスアウトソーシングに対応するCTSの「ITサポート&サービス」
シーティーエス株式会社(CTS)の「ITサポート&サービス」は、一般中小企業向けのシステム管理部門アウトソーシングです。お客様のPC・サーバー・ネットワークなどのIT資産管理を代行し、情シス担当者が不在・兼任の企業を支援します。
基本パッケージで自社専用のITサポートセンターを開設する
基本パッケージでは、初期現場調査、IT資産管理台帳の作成、調査結果と改善点のアドバイスを経て、自社専用のITサポートセンターを開設します。PCやネットワーク、サーバーの不調、セキュリティの相談などに、電話やメールで技術者が対応する仕組みです。
基本パッケージの月額費用は、PC10台以下の場合で22,000円(税抜)からです。初期現場調査の費用は現在キャンペーン価格の0円で提供しています。
運用代行プランで社内サーバーの日常管理を任せる
基本パッケージに加えて利用できるのが、NASやWindows Server、メールサーバー、クラウドサービスの運用を任せられる運用代行プランです。ユーザー設定やアクセス権限設定、バックアップ設定の変更など、担当者に負担が偏りやすい運用業務をまとめて委託できます。
オプションプランで突発的な障害復旧に対応する
障害復旧、ネットワーク構築、サーバーのリプレイス、セキュリティ設定など、突発的に発生する作業はオプションプランで対応します。リモート対応には、起動のたびにワンタイムパスワードが生成される「TeamViewer」を採用しており、サポート側から無断で接続できない仕組みです。
サービスの対応時間は平日9:00〜17:00で、対応エリアは東京都市圏を中心に、公共交通機関でおおむね1時間以内の範囲です。契約は基本的に1年間で、支払いは毎月となります。
よくある質問
情シスアウトソーシングの比較・検討を進める企業からよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q. 従業員数が少ない会社でも情シスアウトソーシングを利用できますか?
- A. 利用できます。PC台数に応じた月額料金を設定しているサービスであれば、社員が数名から十数名程度の会社でも、規模に見合った費用で委託できます。専任の担当者を置く余裕がない小規模な会社ほど、外部に任せる効果を実感しやすいでしょう。
- Q. 情シス業務の一部だけを委託することはできますか?
- A. 多くのサービスで一部の業務だけを委託できます。たとえば、PCやメールアカウントの手配だけを任せて日々の運用は社内で行うなど、自社の状況に合わせて委託範囲を絞り込む使い方も可能です。
- Q. 情シスアウトソーシングを導入したあとも社内に担当者は必要ですか?
- A. 委託先との窓口となる担当者を1人決めておくことをおすすめします。専門的な知識は必要ありませんが、社内の要望を取りまとめたり、委託先からの報告を受け取ったりする役割を担う人がいると、運用が滞りにくくなります。
- Q. 海外版のOSやスマートフォンも委託の対象になりますか?
- A. サービスによって対応範囲が異なるため、契約前の確認が欠かせません。CTSの「ITサポート&サービス」の場合、海外版OSやスマートフォン・タブレット専用OSは対象外です。利用している機器やOSの一覧を事前に伝え、対応可否を確かめておきましょう。
まとめ
情シスアウトソーシングは、情シス代行や情シス外注とも呼ばれ、社内のIT管理や問い合わせ対応を外部の専門会社に任せるサービスです。提供形態には常駐型・リモート型・スポット型があり、対応の速さと費用のバランスがそれぞれ異なります。
費用は委託範囲によって月数万円から数十万円まで幅があるため、料金体系と委託範囲をそろえたうえで総額を比べることが欠かせません。委託先を比較する際は、対応範囲、対応時間、訪問対応、セキュリティ対策、契約条件の5点を確認しましょう。
まずは社内のIT業務を洗い出し、どこまでを外部に任せるかを決めるところから始めてみてください。
この記事のまとめ
- 情シスアウトソーシングは名称にかかわらず、委託できる業務範囲で比較する
- 常駐型・リモート型・スポット型の違いを踏まえ、自社の問い合わせ頻度に合う形態を選ぶ
- 費用は月額費用だけでなく、追加作業を含めた年間の総額で比べる
- 委託したい業務を洗い出し、複数社から同じ条件で見積もりを取る




