情シス効率化とは?業務が非効率になる原因と負荷を軽減する具体策

情シス担当者の多くは、システムの企画や改善に充てたい時間を、日々の問い合わせ対応に取られていると感じています。原因を放置したまま人員やツールを増やしても、業務は思うように整理されません。
効率化を進めるには、属人化・ナレッジ未整備・問い合わせ対応への時間偏重といった要因を切り分けたうえで、ナレッジ化・ツール活用・外部委託をどう使い分けるかを検討する必要があります。自社の業務のどこにボトルネックがあるかを把握してから対策を選ぶことで、効率化の効果を実感しやすくなります。
- 情シス業務が非効率になる背景には、属人化・ナレッジ未整備・問い合わせ対応への時間偏重という三つの要因が重なっている。
- FAQ整備や対応フローの標準化、自動化ツールの導入によって、問い合わせ対応の多くを情シス担当者以外でも処理できる状態に近づけられる。
- 問い合わせ対応の一次受付を外部委託すると、情シス担当者の時間をシステム企画などのコア業務へ再配分しやすくなる。
- 効率化を進める際は、現状業務の棚卸しと優先順位付けを先に行い、情シスが担うべきではない業務から移管を検討する。
情シス業務の効率化を妨げる原因は何か?

情シス業務が非効率になる背景には、特定の要因が単独で存在するのではなく、複数の要因が絡み合っているケースが多く見られます。代表的な要因として、業務の属人化、ナレッジの未整備、問い合わせ対応への時間の偏りが挙げられます。
特定の担当者に業務が偏る属人化のリスク
中小企業の情シス部門では、専任担当者が1名または少人数にとどまるケースが少なくありません。ある調査では、中小企業の情シス部門で専任担当者が「0名(専任なし)」の企業も一定数存在することが報告されています。
専任担当者が少ない体制では、システムの構成やトラブル対応のノウハウが特定の個人の頭の中にしか残らず、その担当者が不在になった途端に業務が止まってしまうリスクを抱えます。
加えて、情シスが総務部門などの下位組織に位置づけられている場合、本来は他部署が担うべき業務まで持ち込まれやすく、負荷の実態が経営層に認識されないまま属人化が進む傾向もあります。本来であれば複数人で分担すべき業務量が1人に集中している状態は、属人化の結果であると同時に、次の非効率を招く原因にもなります。
業務ノウハウの文書化が進んでいないことによる非効率
トラブル対応やユーザーサポートに日々追われていると、システムの仕様や運用手順を文書としてまとめる時間を確保しにくくなります。結果として、同じ種類のトラブルが起きるたびに、対応方法を担当者の記憶や過去のメールから探し直す状況が繰り返されます。この状態が続くと、新しく着任した担当者への引き継ぎにも時間がかかり、組織全体の対応スピードが落ちていきます。
属人化を防ぐには、担当者個人の記憶に頼らず、業務内容を誰もが参照できる形で残しておく仕組みが欠かせません。
問い合わせ対応に時間を取られてコア業務が進まない実態
情シス業務のうち、実際にどの業務に最も時間を使っているかを尋ねた調査では、「問い合わせや障害対応」が最多の回答となりました。同じ調査では、情シス担当者の約7割が人材不足を感じ、約7割がストレスを、約6割が忙しさを感じていると回答しています。別の調査でも、情シス担当者の9割以上が業務外の問い合わせを受けた経験があると回答しており、そのうち多くが実際に対応していると答えています。
情シス担当者を対象にした調査結果の抜粋
| 調査項目 | 回答結果 | 調査対象 |
|---|---|---|
| 最も時間を使っている業務 | 「問い合わせや障害対応」54.7% | 情シス担当者203名 |
| 人材不足を感じている | 72.9% | 情シス担当者203名 |
| 業務外の問い合わせを受けた経験がある | 95%(うち77%が実際に対応) | 情シス担当者91名 |
問い合わせや障害対応は必要な業務ですが、突発的な割り込み対応が増えると、コア業務(システム企画や改善)が後回しになります。
参照:中小企業の情シス業務に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年9月)/情シス担当者の業務実態調査(OrangeOne株式会社、2023年7月)/情シス担当者への社内問い合わせに関する調査(INTERNET Watch、2023年4月)
情シス業務を効率化する具体的な手法とは?
非効率の要因が属人化・ナレッジ未整備・問い合わせ対応への時間偏重にあるとすれば、効率化の打ち手もこの三つに対応させて考えると整理しやすくなります。次に紹介する手法は、いずれも「問い合わせを担当者以外でも処理できる状態に近づける」という共通の狙いを持っています。
情シス業務を効率化する3つの手法
- 社内FAQを整備し、社員が自己解決できる仕組みをつくる
- 対応フローを標準化し、複数人で業務を分担しやすくする
- 自動化ツール(チャットボット・RPAなど)で定型業務を仕組み化する
社内FAQを整備して社員がトラブルを自己解決できるようにする
社員がPCトラブルに直面したとき、まず自分で解決策を探せる仕組みがあれば、情シスへの問い合わせ件数そのものを減らせます。具体的には、よくあるトラブルの対処法やシステムの利用手順を社内ポータルなどにFAQとしてまとめておく方法があります。ポータルは単に情報を置くだけでなく、目的の情報にすぐたどり着けるよう検索性や見出しの分かりやすさを工夫することが重要です。
対応フローを標準化して業務を分担しやすくする
問い合わせを受けてから解決に至るまでの流れが担当者ごとにばらばらだと、他の担当者や外部への引き継ぎが難しくなります。受付から一次切り分け、エスカレーション先の判断までを定型の手順として決めておくと、対応品質を保ちながら業務を複数人で分担できるようになります。手順が明文化されていれば、繁忙期に一時的な応援を頼む場合でも、対応の質を大きく落とさずに済みます。
自動化ツールを導入して定型業務を仕組み化する
パスワードのリセットや定型的な設定変更のように、手順が決まっている業務は自動化ツールとの相性が良い領域です。チャットボットで一次対応を仕組み化したり、RPAで繰り返し発生する設定作業を自動処理したりすることで、担当者が同じ作業を都度手作業で行う必要がなくなります。自動化できる業務を仕組みに置き換えるほど、特定の担当者しか対応できない状態からも抜け出しやすくなります。
これらの手法はどれか一つだけを導入すれば十分というものではなく、業務の性質に応じて組み合わせることで効果が積み上がっていきます。
情シス効率化を進める際に気をつけたいポイントは?
効率化の手法を並べる前に、まず自社の業務のどこにボトルネックがあるのかを把握しておく必要があります。
効率化に着手する前に押さえたいポイント
- 現状の業務を棚卸しし、頻度・時間・重要度から優先順位をつける
- 情シスが担うべきではない業務を洗い出し、他部署への移管を検討する
現状の業務を棚卸しして優先順位をつける
効率化の第一歩は、誰がどの業務をどのくらいの頻度と時間で行っているかをリスト化することです。業務フローを図に起こしてボトルネックを可視化し、重要度と緊急度で分類すると、着手すべき順番が見えてきます。
すべての業務を一度に見直そうとすると作業が止まりやすいため、影響の大きい業務から段階的に手をつける進め方が現実的です。棚卸しの結果を担当者間で共有しておけば、優先順位の判断基準を後から見直す際にも役立ちます。
棚卸しは一度きりの作業ではなく、業務内容や体制が変わるたびに見直す前提で運用すると、優先順位のずれを早めに修正できます。
情シスが担うべきではない業務の移管を判断する
棚卸しの過程では、「この業務は本当に情シスが行うべきものか」という視点を持つことが重要です。優先度が低い業務や、本来は他部署が担うべき業務を洗い出し、思い切って他部署へ移管する判断も効率化には欠かせません。やらない業務を明確にすることで、情シスが本来取り組むべき業務にリソースを集中させやすくなります。
問い合わせ対応の一次受付を外部委託して情シスの業務負荷を軽減する

社内でのナレッジ化やツール活用に加えて、問い合わせ対応そのものを外部に切り出す選択肢もあります。社内で解決しきれない一次対応の量が多い場合は、外部の専門窓口に任せることで負荷を軽減しやすくなります。
一次受付の外部化で生じた時間をコア業務へ再配分
パスワード忘れやPCの起動不良、ネットワークの遅延といった一次対応は、発生するタイミングを予測しづらいという特徴があります。こうした一次受付を外部の窓口に任せることで、情シス担当者が突発的な対応に割く時間を減らせます。
実際に問い合わせ窓口の受付を外部委託した事例でも、トラブル対応に奪われていた時間が減り、業務効率化につながったという成果が報告されています。ひとり情シスの体制では、こうしたノンコア業務の増加がコア業務の遅れに直結しやすいため、外部化による負荷軽減の効果を実感しやすい傾向があります。
生まれた時間は、システム導入の検討やセキュリティ強化といった、情シス本来のコア業務に回せるようになります。
中小企業のIT資産管理を代行するCTSの基本パッケージ
シーティーエス株式会社(CTS)の「ITサポート&サービス」は、情シス担当者が不在または兼任の中小企業に向けて、パソコン・サーバー・ネットワークなどのIT資産管理を代行するサービスです。基本パッケージでは、現場調査からIT資産管理台帳の作成、改善点のアドバイスを経て、貴社専用のITサポートセンターを開設します。開設後は、電話やメールによる問い合わせの一次受付を含めたトラブル対応を任せられるため、社内で一次対応に追われていた時間を減らせます。
CTS「ITサポート&サービス」基本パッケージの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入の流れ | 初期現場調査→IT資産管理台帳作成→改善点のアドバイス→ITサポートセンター開設 |
| 対応時間 | 平日9:00〜17:00 |
| 月額費用の目安 | PC10台以下の場合、月額22,000円(税抜)〜 |
なお、対応時間は平日9:00〜17:00であり、夜間や休日の対応は含まれていない点にはご留意ください。
よくある質問
情シス効率化に関して情シス担当者からよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q. 情シスの業務を効率化すると、どのようなメリットがありますか?
- A. 問い合わせ対応に費やしていた時間を減らせることで、システムの企画や改善、セキュリティ強化といった情シス本来のコア業務に時間を充てやすくなります。業務内容をナレッジとして残しておけば、担当者の異動や退職があっても対応品質を維持しやすくなる点もメリットです。
- Q. ひとり情シスでも問い合わせ対応の負荷を減らせますか?
- A. 担当者が1名でも、FAQの整備や対応フローの標準化である程度の負荷軽減は可能です。ただし一次受付そのものを外部の窓口に任せれば、担当者が突発的な問い合わせに割く時間をさらに減らせます。
- Q. 効率化のためにツール導入と外部委託のどちらを優先すべきですか?
- A. どちらか一方を選ぶ必要はなく、業務の性質によって使い分けるのが基本です。定型的な設定作業はツールによる自動化と相性がよく、予測しづらいタイミングで発生する一次対応は外部委託との相性がよい傾向があります。自社の問い合わせ内容を分類し、どちらのパターンが多いかを確認したうえで優先順位を決めるとよいでしょう。
- Q. 外部委託の対応時間はどのように確認すればよいですか?
- A. 委託先によって対応時間の範囲は異なるため、契約前に必ず確認します。CTSのITサポート&サービスの場合、対応時間は平日9:00〜17:00であり、夜間や休日の対応は含まれていません。
まとめ
情シス業務が非効率になる背景には、属人化・ナレッジ未整備・問い合わせ対応への時間偏重という要因が重なっています。この三つの要因に対して、FAQ整備や対応フローの標準化、自動化ツールの導入といった手法を組み合わせることで、担当者以外でも対応できる業務を増やせます。
それでも解消しきれない問い合わせの一次受付については、外部委託によって切り出すという選択肢もあります。社内での改善と外部委託は対立する選択肢ではなく、業務の性質に応じて組み合わせて使えるものです。
まずは自社の業務を棚卸しし、どこにボトルネックがあるのかを把握したうえで、社内での改善と外部委託を使い分けていくことが効率化への近道です。
この記事のまとめ
- 情シス業務の非効率は属人化・ナレッジ未整備・問い合わせ対応への時間偏重が重なって生じる。
- FAQ整備・対応フローの標準化・自動化ツールの導入を組み合わせて社内で対応できる範囲を広げる。
- 問い合わせ対応の一次受付は外部委託でも切り出せる選択肢であることを把握しておく。
- 効率化に着手する前に、まず現状業務を棚卸しして優先順位をつける。




