ドローンバッテリーの取り扱い
ドローンの動力源として欠かせないバッテリーですが、扱う機体によって大きさやパワーもさまざまです。しかし、バッテリーの取り扱いは一歩間違えると爆発や火災といった重大な事故にもつながりかねません。しっかりとした知識を身に着け、安全な管理を心がけましょう。
リポバッテリーの特徴
ドローンにはLi-Po(リチウムポリマー)という種類のバッテリーが広く使われています。略してリポバッテリーと呼ばれています。このリポバッテリーは、セルという単位のパックで構成されており、1セルあたり3.7V(充電時は最大4.2V)の高い電圧が得られます。そして非常に小型であるということがドローンのバッテリーとして用いられている理由です。なお、このセル数(電圧/V)や容量(単位はmAh)によってバッテリーの大きさやパワー、持続時間なども変わります。
リポバッテリーの注意点
一方でリポバッテリーには注意すべき点もいくつかあります。バッテリー電圧4.2V以上充電された状態を、過充電状態といい、3.2V 以下に放電された状態を過放電状態といいます。
前者の過充電状態で4.2V以上になると内圧が上昇し過熱したり、場合によっては熱暴走を起こすことがあります。一方、後者の過放電をすると、バッテリーの性能が落ちて、寿命が短くなります。また、バッテリー内部の電解質は溶け出して空気や水分に触れてしまうと急激に反応して燃えてしまう性質を持っているので、傷や衝撃、水濡れにより発火する危険性もあります。
リポバッテリーの電圧
リポバッテリーの各セルの電圧は均一に保たれているのが正常です。充電も各セル均等に行う必要があり、これをバランス充電と呼び、充電器も専用のものを使用します。ここで万が一、各セル間において電圧の差ができていると、そのバッテリーには何らかの問題がありますので、直ちに使用を中止し廃棄しましょう。
DJI製のドローンを飛行させる場合は専用アプリ内でセルバランスを必ず確認し、誤差0.03以上ずれている場合には、再度バランス充電を行い、それでも改善しない場合にはそのバッテリーは使用せず廃棄してください。
また、バッテリーを長期保管時に満充電のままにしておくと、夏場など気温の上昇で電圧が上がってしまい過充電状態になってしまう場合があります。それを避けるためには電圧を60%程度に放電した状態にしておくことでこうしたリスクを防ぐことができます。
ちなみに、DJI製のインテリジェントバッテリーは10日間以上使用されない場合、バッテリーが膨張しないよう、自動的に65%より低いレベルまで放電する機能がついています。そして、保管や輸送にはリポバッテリー専用の防爆防炎ケースなどを利用し、季節や環境に応じた適切な温度管理をしましょう。
リポバッテリーの温度
リポバッテリーの保管時には直射日光を避けましょう。夏場の車中や40℃以上になる場所での保管は過放電や性能の低下にもつながります。50℃を超える環境でバッテリーを使用すると、火災や爆発につながるおそれがありますのでご注意ください。
また、ドローンを冬場や寒冷地で飛ばす場合は、バッテリーを専用のバッテリーヒーターや直前まで懐で温めるなどして温度管理を適切にしましょう。フライト前の対処法としては、バッテリーを機体に入れて電源を入れた後、モーターを始動させてその場でモーターを数分間暖気運転をしたのち(できればバッテリー温度が25℃以上になったら)本フライトを開始するとよいでしょう。
リポバッテリーの廃棄
使用済みのバッテリー、膨張したバッテリー、前述のような異常のあるバッテリーは爆発・発火の危険がありますので、絶対にそのままゴミとして出さないでください。必ず3〜5%くらいの濃度の塩水に約一週間浸けてから、各自治体の処理方法に従って破棄してください。
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