IT・保守サポート豆知識
ヘルプデスクとは?中小企業に必要とされる理由と外部委託の選び方
ヘルプデスクとは、従業員や顧客から寄せられるIT関連の問い合わせやトラブルに、電話・メール・チャットなどを通じて対応する仕事や部門のことです。パソコンが動かない、システムの使い方が分からないといった日々の困りごとを一次受付し、解決まで導く役割を担います。
情シス担当者が不在、または兼任している中小企業では、問い合わせの受け皿が定まらず、特定の社員に負担が偏りがちです。自社に合った体制を整えるには、ヘルプデスクの役割や業務内容を正しく理解したうえで、社内運用と外部委託のどちらを選ぶかを検討する必要があります。
- ヘルプデスクは従業員のIT問い合わせを一次対応する窓口であり、基盤の導入・管理を担う社内SEとは役割が異なる。
- 従業員10〜29名の企業では約半数がシステム担当者不在であり、規模が小さいほどIT問い合わせの受け皿が定まりにくい。
- 社内でヘルプデスクを運用すると、対応の属人化や特定担当者への負荷集中が課題になりやすい。
- 外部委託を活用すれば、専任オペレーターによる対応品質の安定化と柔軟な体制構築を両立できる。
ヘルプデスクとは何か
まずはヘルプデスクという言葉の意味と、混同されやすい「社内SE」との役割の違いを整理します。あわせて、対応する相手によって分かれる社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの違いも確認していきます。
ヘルプデスクの定義
ヘルプデスクとは、ユーザーがITシステムやアプリケーションの利用で困った際に対応する一次対応窓口のことです。問い合わせ対応、パソコンの初期設定、基本的なトラブル解決、FAQの作成などを幅広く担う機能を指します。
対応対象によって、従業員向けに社内で運用される「社内ヘルプデスク」と、自社製品・サービスの利用者に向けた「社外ヘルプデスク」に大別されます。本記事で主に取り上げるのは、中小企業の従業員がIT機器やシステムを使ううえでのトラブルを解決する社内ヘルプデスクです。
社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの違い
社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクは、対応する相手だけでなく求められるスキルにも違いがあります。社内ヘルプデスクは従業員を対象に、社内制度への理解とIT知識を軸にシステムの使い方説明や障害対応を行います。一方、社外ヘルプデスクは自社製品を利用する顧客を対象に、製品知識に加えて接客スキルやクレーム対応力が求められる点が特徴です。
両者の違いを一覧にすると、次のように整理できます。
| 項目 | 社内ヘルプデスク | 社外ヘルプデスク |
|---|---|---|
| 対象 | 自社の従業員 | 自社製品・サービスの顧客 |
| 必要スキル | 社内制度の理解、IT知識全般 | 製品知識、接客スキル |
| 特徴 | IT機器・システム全般に幅広く対応 | クレーム対応を含む場合がある |
ヘルプデスクと社内SEの役割の違い
ヘルプデスクとしばしば混同される役職に「社内SE」があります。社内SEは、自社利用のITインフラ全体の設計・管理・保守(システム開発・運用、インフラ構築、セキュリティ対策など)を担う職種で、対象は主に社内です。これに対しヘルプデスクは、導入済みのIT環境を実際に使う中で生じる日々のトラブル解決、いわば現場対応(フロントエンド)を主な業務とする点が異なります。
両者は業務範囲が重なる場面もありますが、基盤を作る役割と、その基盤を使う人を支える役割という違いを押さえておくと、自社に必要な体制を検討しやすくなります。
中小企業でヘルプデスクが必要とされる理由とは?
ヘルプデスクの役割を踏まえたうえで、なぜ中小企業においてこの機能の有無が特に問題になりやすいのかを見ていきます。背景にあるのは、情シス担当者を専任で置けない企業の多さです。
中小企業でヘルプデスクが必要とされる背景
- 企業規模が小さいほど、専任のシステム担当者を配置しにくい
- 担当者不在の場合、ITに詳しい特定の社員へ問い合わせが集中しやすい
- 問い合わせ窓口を設けることで、従業員がITトラブルを相談できる環境を整えられる
情シス担当者が不在・兼任の中小企業が多い実態
従業員10〜299名の企業1,093社を対象にした2025年11月の調査では、「システム担当者はいない(社外・兼務もいない)」と回答した企業が全体で27.5%にのぼりました。従業員規模別に見ると、10〜29名の企業では48.2%、100〜299名の企業では13.2%と、企業規模が小さいほどシステム担当者不在率が高くなる傾向が示されています。
別の調査でも、年商5〜50億円の企業層で専任のIT担当者が減り、他業務と兼任する「ひとり情シス」が直近2年で増加していることが確認されています。企業規模が小さいほど、日々のIT問い合わせを受け止める専任の窓口を確保しにくいという実情がうかがえます。
情シス不在の企業で起きやすいIT問い合わせ対応の混乱
専任担当者がいない企業では、日々発生するIT関連の問い合わせに対する一次対応者が定まりません。パソコンの不調やシステムの操作方法といった困りごとが起きるたびに、従業員は自己解決を迫られるか、たまたま詳しい社員に頼らざるを得なくなります。
この状態が続くと、IT機器に詳しい特定の社員へ問い合わせが集中し、その社員の本来の業務を圧迫してしまいます。社内ヘルプデスクという窓口を設けることは、IT機器や業務システムに詳しくない従業員でも安心して業務に臨める環境づくりにつながります。
ヘルプデスク業務の具体的な内容とは?
ヘルプデスクが実際にどのような業務を担うのかを、具体的な作業単位で見ていきます。問い合わせ対応から日々のバックオフィス業務まで、幅広い作業が含まれています。
| 業務 | 主な内容 |
|---|---|
| 問い合わせ対応 | 電話・メール・チャットなどによるIT関連の問い合わせ対応 |
| トラブル対応 | 不具合の原因を切り分け、必要に応じて技術部門へエスカレーション |
| アカウント管理 | ID発行やパスワードリセットなどの対応 |
| ナレッジ整備 | 問い合わせ履歴をFAQとして整理し、自己解決できる環境を整備 |
電話やメールでの問い合わせ対応
ヘルプデスク業務の中心となるのが、電話・メール・チャットなどのチャネルを通じた問い合わせ対応です。社員や顧客から寄せられるシステムトラブル、パソコンの操作方法、ネットワーク障害といった技術的な相談への回答が主業務となります。
パソコンやプリンターの設定、ソフトウェアのインストールといった基本的なサポートも、問い合わせ対応の一環に含まれます。
技術的なトラブルの原因切り分け
パソコンやソフトウェアの不具合が発生した際には、原因の切り分け(トラブルシューティング)を行い、自部門で解決できない場合は技術部門へエスカレーションするかどうかを判断します。IT資産管理やシステムの更新も、この切り分け作業と合わせて担当することが多い業務です。
IDやパスワードのアカウント管理
問い合わせ対応と並んで重要なのが、IDの発行やパスワードリセットといったアカウント管理業務です。従業員がシステムにログインできないといったトラブルは日常的に発生するため、迅速な対応が求められます。
FAQ化によるナレッジ整備
過去の問い合わせ内容とその対応履歴を「よくある質問(FAQ)」として整理し、従業員に公開する「ナレッジ整備」も欠かせない業務です。ナレッジを蓄積しておくことで、従業員自身が抱える問題を自己解決できる仕組みが整い、同じ内容の問い合わせに毎回一から対応する手間も減らせます。
社内でヘルプデスクを運用する場合の課題とは?
ヘルプデスクの必要性は理解できても、実際に社内だけで運用しようとすると、いくつかの共通した課題に直面します。ここでは代表的な3つの課題を取り上げます。
社内運用で起こりやすい3つの課題
- コア業務の時間不足:問い合わせ対応に時間を取られる
- 対応の属人化:特定の担当者しか対応できない状態になる
- 負荷の集中:IT関連の質問やトラブル対応が一部の社員に偏る
コア業務に充てる時間の不足
専任の担当者を置かずにヘルプデスク業務を兼任させると、日々の問い合わせ対応に追われ、本来注力すべきシステム開発・運用・セキュリティ対策といったコア業務に十分な時間を割けなくなります。問い合わせ対応に時間を取られるほど、企業のIT基盤そのものを強化する業務が後回しになりやすい点に注意が必要です。
対応の属人化
ヘルプデスク業務は専門知識が必要な場面が多く、対応できる担当者が限定されやすい性質を持っています。特定の担当者しか対応できない問い合わせが積み重なると、回答や復旧作業が遅れるだけでなく、その担当者が不在・休職・退職した場合に対応が完全に滞ってしまうリスクもあります。
特定担当者への負荷集中
問い合わせ先の周知が不十分だと、IT関連以外の質問まで担当者に寄せられ、優先度の高い案件の対応が遅延することもあります。加えて、日々の対応に追われて教育・研修の時間が確保できず、担当者のスキルアップの機会そのものが不足しがちになる点も課題です。
ヘルプデスク業務を外部委託するという選択肢とは?
社内運用の課題を解決する方法の一つが、ヘルプデスク業務の外部委託です。専門業者に一部または全部の業務を任せることで、社内運用の課題を根本から解消できる可能性があります。
ヘルプデスクを外部委託する主なメリット
- 専任オペレーターによる対応で、品質を安定させやすい
- 問い合わせ対応を切り出し、社内担当者の負担を軽減できる
- 必要な業務だけを委託するなど、自社に合わせて体制を構築できる
専任オペレーターによる対応品質の安定化
ヘルプデスク業務を外部委託する最大のメリットは、定型的な問い合わせ対応を専任オペレーターに任せられる点です。専任オペレーターが対応することで属人化を防止でき、対応品質を安定させやすくなります。即座に専門オペレーターによる対応体制を構築できるため、社内に負担をかけずに運用を安定化できる点も利点です。
体制構築にかかるコストの面でも違いがあります。IT・セキュリティ分野の専任担当者を1人雇用する場合、給与や社会保険料などを含めた月あたりのコストは30万円以上になるとされる一方、外部の専門業者に運用を任せる場合は月数万〜10万円程度からという試算もあり、体制構築のコスト差は無視できません。
柔軟な体制構築ができる外部委託の特徴
外部委託のもう一つの特徴は、体制を柔軟に組み立てられる点です。
例えば「トラブル対応の窓口だけを委託し、サーバーやクラウドサービスの日常的な運用は自社で行う」というように、必要な範囲だけを選んで依頼することもできます。
すべての業務を丸ごと任せるだけでなく、社内リソースとの分担を細かく設計できる点は、情シス担当者が不在・兼任の中小企業にとって取り入れやすいポイントです。
ヘルプデスク業務を委託できるCTSのIT保守サポート
ヘルプデスク業務の外部委託先を検討する際の一例として、CTS(シーティーエス株式会社)のIT保守サポートがあります。中小企業向けのITサポート&サービスとして、PC10台以下であれば月額22,000円(税抜)から、貴社専用のITサポートセンターを開設してヘルプデスク業務を提供しています。契約後は初期現場調査でIT資産とネットワーク環境を把握したうえでIT資産管理台帳を作成し、改善点のアドバイスを経てサポートセンターを開設する流れで導入が進みます。
開設後に発生したトラブルの多くは、電話やメールでの一次対応で解決できます。リモート対応が必要な場合も、起動のたびに使い捨てのパスワードが発行される仕組みのソフトウェアを使用しており、サポート側から無断で接続することはできません。問い合わせ対応やトラブルシューティングといった日々のヘルプデスク業務から、IT資産管理・セキュリティ対応まで幅広くカバーできる点が特徴です。
自社の状況に応じてどこまでの業務を委託するかを検討する際の選択肢の一つとして、資料をあわせて確認してみてください。
よくある質問
Q. ヘルプデスクと問い合わせ窓口は同じものですか?
A. 問い合わせ窓口という言葉は幅広い意味で使われますが、ヘルプデスクはその中でも主にIT機器やシステムに関する技術的な問い合わせやトラブルに特化して対応する機能を指します。総務や経理などの一般的な問い合わせ窓口とは対応内容が異なります。
Q. ヘルプデスクとカスタマーサポートは何が違いますか?
A. カスタマーサポートは自社製品・サービスの利用者(顧客)を対象とする社外ヘルプデスクに近い機能で、製品知識や接客スキルが重視されます。一方、社内ヘルプデスクは自社の従業員を対象に、社内制度の理解とIT知識全般をもとに対応する点が異なります。
Q. 中小企業でもヘルプデスクを設置する必要はありますか?
A. 従業員数が少ない企業ほど、IT担当者を専任で置く余裕がなく、日々の問い合わせが特定の社員に集中しやすい傾向があります。専任の部署でなくても、問い合わせを受け止める窓口や仕組みを用意しておくことで、対応の抜け漏れや負担の偏りを防ぎやすくなります。
Q. ヘルプデスクを外部委託すると社内の情報は把握しにくくなりませんか?
A. 委託先との間で問い合わせ内容や対応履歴を共有する仕組みを整えておけば、外部委託後も社内で状況を把握し続けることができます。委託を検討する際は、報告やナレッジ共有の運用方法をあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
ヘルプデスクとは、従業員や顧客からのIT関連の問い合わせやトラブルに対応する仕事や機能であり、基盤の導入・管理を担う社内SEとは役割が異なります。企業規模が小さいほどシステム担当者の不在率が高く、日々のIT問い合わせを受け止める窓口が定まらないことで、特定の社員への負担集中や対応の遅れが起きやすい状況にあります。
社内だけでヘルプデスクを運用しようとすると、コア業務の時間不足、対応の属人化、負荷の集中といった課題に直面しがちです。これらの課題を根本から解消する方法として、専任オペレーターによる対応品質の安定化と柔軟な体制構築が可能な外部委託という選択肢があります。自社の問い合わせ対応の実情を振り返り、社内運用と外部委託のどちらが自社に合っているかを検討してみてください。
この記事のまとめ
- ヘルプデスクは従業員のIT問い合わせに一次対応する窓口であり、社内SEとは役割が異なる。
- 企業規模が小さいほどシステム担当者不在率が高く、対応窓口の整備が課題になりやすい。
- 社内運用の属人化や負荷集中に悩む場合は外部委託の活用を検討する。
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