情シス担当が不在・兼任の企業が直面する課題と解決策

情シス担当者が社内にいない、あるいは他の業務と兼任している中小企業では、日々の問い合わせ対応や社内システムの管理に追われてしまいます。その結果、本来のコア業務に十分な時間を割けないという課題が生じやすくなります。
自社に合った対処法を選ぶには、情シス不在・兼任の企業に共通する課題と、その背景にある実態を踏まえたうえで、課題を放置した場合のリスクも見据えておく必要があります。そのうえで、社内体制の整備と外部委託という2つのアプローチをどう組み合わせるかを検討することが重要です。
- 情シス担当の不在・兼任は、問い合わせ対応の集中と業務の属人化を招きやすい
- 中小企業の多くがひとり情シスの状態にあり、外部委託を実施済みの企業も多い
- 課題を放置すると、セキュリティ対応の遅れや業務停止のリスクが高まる
- 課題解決には、社内体制の整備を基本としつつ必要な業務だけを外部委託する方法がある
情シス担当が不在・兼任の企業に起こる典型的な課題とは?

情シス担当者が専任でいない企業では、日々の業務の中でいくつかの共通した課題が表面化します。まず典型的な3つの課題を確認します。
情シス担当が不在・兼任の企業に起こりやすい3つの課題
- 問い合わせの集中:パソコンやネットワークのトラブル対応が特定の担当者に集中する
- 業務の属人化:設定変更やトラブル対応の手順が担当者個人にしか分からない
- コア業務の圧迫:兼任担当者は本来の業務時間を削って対応にあたる
問い合わせ対応が情シス担当者1人に集中する
専任の情シス担当者がいない、またはひとりしかいない企業では、パソコンの不調やネットワークトラブルの問い合わせがすべて特定の担当者に集まります。
問い合わせが1人に集中する状態は、平常時のコア業務圧迫と、緊急時のトラブル対応の遅れという2つのリスクの温床になります。
結果として、緊急性の低い問い合わせへの対応にも時間を取られ、他の業務が後回しになりがちです。
IT業務の属人化で引き継ぎが困難になる
設定変更やトラブル対応の手順が担当者個人の頭の中にしかない状態は、多くの情シス不在・兼任企業に共通する課題です。中小企業の情報システム担当者を対象にした調査でも、業務の属人化を課題に挙げる回答が29.7%にのぼります。
属人化した業務は、担当者が休職・退職した際に一気に表面化し、引き継ぎの難航につながります。
情シス業務がコア業務の時間を圧迫する
他部署の業務と情シス業務を兼任している担当者は、本来の業務時間を削って対応にあたることになります。中小企業の約65%が、専任の情報システム担当者を置かず「各自で対応」または「他業務との兼任」で情シス業務を回しているという調査結果もあります。
兼任状態が続くと、情シス業務・本業のどちらも中途半端になる恐れがあります。
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年7月)/セキュアSAMBA利用実態調査(株式会社kubell、2026年2月)
中小企業で情シス担当者が不在になりやすい背景とは?

情シス担当が不在・兼任になりやすいのは、個々の企業の事情だけでなく、中小企業全体に共通する構造的な背景があります。
従業員100名以下企業の88%を占めるひとり情シスの実態
2024年時点の調査によると、従業員100名以下の中小企業の88%が、情シス要員1人以下の「ひとり情シス」の状態にあります。従業員100〜1,000名の中堅企業でも38%が同様の状態です。
コロナ禍以降、特に従業員100名以下の企業で「一人目のひとり情シス」の任命が増えている傾向も指摘されています。
7割の企業が実施済みの情シス業務の外部委託
情シス業務の外部委託は、すでに多くの企業が取り入れている選択肢です。ある調査では、情シス業務の全部または一部を外部委託している企業が70.3%(全て委託24.4%、一部委託45.9%)にのぼります。
一方で外部委託先に対しては、費用の高さや業者選定の難しさを課題視する声も一定数あります。
増員意向はあっても進まない情シス担当者の採用
ひとり情シスの状態にある企業の多くは、担当者を増やしたいという意向自体は持っています。ある調査では、ひとり情シス企業の58%が増員意向を示す一方、給与面やスキルのミスマッチによって採用が難航している実態も報告されています。
採用による増員が難しい以上、社内体制の見直しや外部委託の活用を並行して検討する企業が増えています。
| 調査項目 | 数値 | 調査時点 |
|---|---|---|
| 従業員100名以下企業のひとり情シス比率 | 88% | 2024年度 |
| 情シス業務を外部委託済みの企業の比率 | 70.3% | 2024年7月 |
| 専任担当者を置かず各自対応・兼任している企業の比率 | 約65% | 2026年2月 |
参照:中小企業IT投資動向調査・ひとり情シス実態調査(一般社団法人ひとり情シス協会、2024年度)/情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年7月)/ひとり情シス実態調査(ひとり情シス協会、2021年12月)
情シスの課題を放置するとどのようなリスクが生じる?
典型的な課題を解決しないまま放置すると、業務効率の低下だけでなく経営に直結するリスクにつながります。
情シスの課題を放置した場合に生じやすい3つのリスク
- セキュリティ対応の遅れ:サイバー被害の発生や復旧期間の長期化を招く
- 属人化した業務の停止:担当者が不在になった瞬間に業務が止まる
- 担当者の退職・休職:ITインフラの機能低下や、退職時の後任採用の難航を招く
セキュリティ対応の遅れがサイバー被害を招くリスク
専任担当者が不在の企業では、セキュリティ対策の導入や見直しが後回しになりがちです。IPAの調査によると、サイバーインシデントが発生した中小企業の被害額は平均73万円(最大1億円)、復旧までの期間は平均5.8日(最大360日)にのぼります。
情報セキュリティ対策の専門部署(専任担当者)を設置している中小企業は9.3%にとどまる一方、「組織的には行っていない(各自の対応)」と回答した企業は69.7%(2021年度調査から14.0ポイント増)にのぼります。
属人化した業務が停止するリスク
設定手順やアカウント情報が担当者個人にしか分からない状態では、その担当者が不在になった瞬間に業務が止まります。問い合わせ対応やサーバー管理など、日常的に発生する業務ほど停止の影響が大きくなります。
属人化を解消するには、業務手順の文書化や複数人での分担が有効ですが、情シス不在・兼任の企業ではその時間自体を確保しにくいという構造的な問題があります。
担当者の退職・休職でIT管理が機能不全に陥るリスク
ひとり情シスの担当者が退職すると、ITインフラの機能低下や後任採用の難航という経営リスクが生じます。休職の場合も、担当者が長期間不在になることで同様にITインフラの管理が滞るおそれがあります。
特に後任の採用は前述のとおり難航しやすく、機能不全の状態が長期化する企業も少なくありません。
参照:2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査(IPA、ITmedia @IT報道)
情シスの課題を解決する具体的な方法とは?
情シスの課題を解決する方法は、社内での体制整備と外部委託の大きく2つに分けられます。それぞれの特徴を踏まえ、自社に合う方法を選ぶことが重要です。
社内にシステム担当者を配置し情シス体制を整備する
社内で専任の情シス担当者を新たに配置する方法は、自社の業務やシステムに詳しい人材が育つという利点があります。一方で、情報セキュリティ担当者を1人雇用する場合、給与だけでも月30万円台〜50万円程度かかり、社会保険料や採用・教育費まで含めるとさらに負担が大きくなります。
前述のとおり、増員意向があっても採用が難航しやすい点も踏まえて検討する必要があります。
外部委託でシステム管理部門を専門会社に任せる
外部委託は、専門会社にIT資産管理やトラブル対応を任せることで、採用や育成の手間をかけずに体制を整えられる方法です。外部委託の運用維持コストの目安は月数万〜10万円程度からとされています。
社内雇用のコスト目安と比較すると、外部委託のほうが小さな負担で始めやすい傾向があります。
部分的な外部委託で自社の負担を軽減する
外部委託は、業務のすべてを任せる方法だけでなく、一部の業務だけを切り出して委託する方法もあります。実際に、情シス業務の外部委託を行っている企業の内訳を見ると、一部委託が45.9%と、全て委託の24.4%を上回っています。
例えば、PCやメールアカウント等の手配だけを委託し、日々の運用は自社で行うといった使い分けも可能です。
| 比較項目 | 社内で担当者を配置 | 外部委託 |
|---|---|---|
| コストの目安 | 月30万円台〜50万円程度(給与のみ・担当者1人雇用の場合) | 月数万〜10万円程度〜(運用維持コストの目安) |
| 立ち上げまでの期間 | 採用・育成に時間がかかる | 契約後、比較的早く体制を整えやすい |
| 委託範囲の調整 | 担当者の業務範囲を自社で決める | 基本パッケージ+必要な業務だけの部分委託も可能 |
参照:情シス業務の外部委託に関する実態調査(株式会社バッファロー、2024年7月)
情シス不在の課題をCTSの「ITサポート&サービス」で解決する
ここまでの課題や選択肢を踏まえ、外部委託の具体的な内容としてシーティーエス株式会社(CTS)の「ITサポート&サービス」を紹介します。お客様のパソコン・サーバー・ネットワークなどのIT資産を代行して管理する、システム管理部門アウトソーシングです。
基本パッケージで社内のIT資産管理を代行する
基本パッケージは、初期現場調査、IT資産管理台帳作成、調査結果・改善点のアドバイス、ITサポートセンター開設の順に導入します。
基本パッケージの月額費用は、PC10台以下の場合で22,000円(税抜)からです。
「社内にITシステムの管理をできる者がいない」「管理を任され本来の仕事に支障が出て困っている」といった悩みから相談を受け付けています。
運用代行プランでサーバー・クラウドの日常管理を任せる
基本パッケージに加えて、NASやWindows Server、メールサーバー、クラウドサービスなどの日常的な運用を任せられる運用代行プランがあります。ユーザー設定やアクセス権限設定、バックアップ設定の変更といった、属人化しやすい運用業務をまとめて委託できます。
オプションプランで障害復旧やセキュリティ設定に対応する
障害復旧、ネットワーク構築、サーバーのリプレイス、セキュリティ設定など、突発的に発生する業務はオプションプランで対応します。リモート対応には起動のたびにワンタイムパスワードが生成される「TeamViewer」を採用しており、通信は常に暗号化されています。
なお、サービス対応時間は平日9:00〜17:00で、対応エリアは東京都市圏を中心とした公共交通機関で約1時間以内の範囲です。
よくある質問
情シス担当が不在・兼任の企業からよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q. 情シスの課題を相談できる窓口が社内に無い場合はどうすればよいですか?
- A. 社内に相談できる担当者がいない場合は、システム管理部門をアウトソーシングできる外部の専門会社に相談する方法があります。CTSの「ITサポート&サービス」のように、初期調査から改善アドバイスまでを含むサービスであれば、現状の課題を洗い出すところから依頼できます。
- Q. 外部委託を導入すると、今いる情シス担当者の仕事は無くなりますか?
- A. いいえ、外部委託は既存の担当者の仕事を丸ごと代替するものではありません。基本パッケージやオプションプランを使って定型的な業務や専門知識が必要な業務だけを任せれば、担当者は問い合わせ対応の集中や属人化した業務から解放され、コア業務に時間を割きやすくなります。社内に担当者を残したまま、負担の大きい部分だけを外部委託する運用も可能です。
- Q. 社内にITに詳しい人がいなくても外部委託はできますか?
- A. 対応できます。CTSの「ITサポート&サービス」は、初期現場調査でIT資産の状態を把握したうえで管理を代行するため、社内にITの知識を持つ担当者がいない状態からでも導入できます。
- Q. 情シスの課題はどれから優先して解決すればよいですか?
- A. まずは、問い合わせ対応の集中や業務の属人化など、日常業務にすでに支障が出ている課題から優先して対処することをおすすめします。放置期間が長いほどセキュリティ対応の遅れや退職・休職時の機能不全につながりやすいため、早い段階での対処が重要です。
まとめ
情シス担当が不在・兼任の企業では、問い合わせ対応の集中、業務の属人化、コア業務の圧迫といった課題が生じやすくなります。背景には、中小企業の多くがひとり情シスの状態にあり、担当者を増やしたくても採用が難航しやすいという構造的な事情があります。
これらの課題を放置すると、セキュリティ対応の遅れや業務停止、担当者の退職・休職時の機能不全といったリスクにつながります。解決の方法は、社内での体制整備を基本としながら、必要な業務だけを外部委託と組み合わせることです。
自社のリソースと課題の緊急度を照らし合わせ、無理のない体制づくりから着手することをおすすめします。
この記事のまとめ
- 情シス不在・兼任企業では問い合わせ対応の集中と業務の属人化が典型的な課題になる
- 中小企業の多くがひとり情シスの状態にあり、外部委託を実施済みの企業も多い
- 課題の放置はセキュリティ対応の遅れや業務停止のリスクにつながる
- 自社の課題を整理したうえで、社内整備と部分的な外部委託の組み合わせを検討する




